形外科手術をするメリット

整形外科手術をすれば、慢性的な痛みが和らぎ、運動機能が大きく改善し、患者さんは通常の日常活動を再開することができるようになります。痛みは、人の運動機能を著しく低下させるので、この2つはしばしば密接に関係しています。たとえば、股関節の関節炎は、股関節の大きさよりも、歩くこと、立つこと、座ることが難しくなる不快感から、股関節を硬く固定することができます。

まれに関節炎がひどくなり、股関節が癒着して動かせなくなることも起こりえます。しかし人の身体構造において、痛みは体を守るという役割が担っています。もし自分自身を傷つけてしまった場合、痛みを感じることで傷ついた部分が悪化しないように(さらに傷つかないように)警告してくれるのです。

関節の違和感はどのような影響を与える?

人は、不快な症状が悪化したり、今の状況が悪化したりすることを恐れて、自然と活動を避けるようになる「恐怖回避行動」をとるようになります。しかしこれは、日常生活の質に大きな影響を与える可能性があります。

自分の病気は特に不快なものではないと言い張る人がいますが、さらに病状が悪化すると、不快を感じないために運動やレクリエーション活動を一切やめてしまうということがよくあります。またこうなれば、以前のような生活にはなかなか戻れません。そうして初めて、自分がどれだけ病気に苦悩しているかがわかるのです。

整形外科手術で関節の痛みは和らぐ?

現代の整形外科の最も大きなメリットのひとつは、重い痛みを感じていて、衰弱している多くの患者に対して、実行可能な治療法を届けられることです。たとえば、微小椎間板切除術は、坐骨神経痛の緩和に役立つ手術です。

神経の炎症や不快感を引き起こしている椎間板の断片を、小さな切開によって取り除きます。この手術はたいてい1時間以内で終了し、時には1泊の入院だけで済むにもかかわらず、足の不快感がかなり緩和されます。結果、患者は手術後数週間でほぼ元どおりの活動を再開することができるのです。

また、人工関節置換術は、大きな進歩を遂げています。今日では、身体の主要な関節の大部分を効果的に人工関節に置換することが可能なのです。これらの手術アプローチは、長い時間をかけて開発されたもので、一般的に筋肉を温存することができますし、3~4日の入院だけで通常の身体機能まで迅速に回復することができます。もはや過去に人工関節置換術を悩ませていたトラブルの多くは解決されたのです。現在、感染率は極めて低く、深部静脈血栓症の問題を最小限に抑えるができる凝固治療が可能です。

股関節の痛みに対して、整形外科手術はどのような効果がある?

従来の人工股関節置換術は、新しい人工股関節が患者の残りの人生にわたって持続するよう、できる限り先延ばしされていました。ところが、このアプローチは有害である可能性があります。特に年齢が若い患者は、高齢者の患者に比べて活動的で、一緒に遊びたがる子供がいたり、活発な社会生活やある程度激しめのスポーツを楽しんだりすることが頻繁にあるため、不快感を最小限に抑えるためには、活動を制限するほうをより好みます。このような患者が抱えている苦痛を和らげることができれば、より豊かで有意義な人生を送ってもらうことができるでしょう。

今日では、股関節の設計変更によって、可動域が広がり、より患者の実際の骨格に近い形になりました。また、人工股関節の素材についても、より強度の高いポリエチレン製のインサートに変わりましたし、さらに摩耗が少ないセラミックが登場したので、以前よりも耐久性に優れていて、長期間使い続けることができます。